規制しようがしまいが、犯罪を起こす人は起こします
『東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例』
というのをご存知でしょうか。
『東京都青少年の健全な育成に関する条例』というものの改正案が1度6月に出され、その時は否決されましたが、
11月に入って再び改正案が出されたものです。
自分は1,2ヶ月ほど前にこの案件が作家さん方の間やネット上で議論の的になっている事を知りまして、
真剣にその条例の内容を拝読させていただいたので筆を取る次第であります。
ちなみに言いますと、私はこの条例には反対です。
まず、この改正案で争点となっている第7条第2号の内容をあげておきます。
“一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの”
“二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの”
6月の改正案では二の部分が「非実在少年」という表現で論述されていたのですが、その辺りの事は知っていようが知らなかろうがどちらでも良いです。
表現に用いられた文章を変えただけで、本質的に言っている事は変わりませんから。
さて、この条例が結局のところ何を意味しているのかと言いますと、「青少年に悪影響を与える(と思われる)出版物を発禁にしてしまおう」という事です。
こんな物は作家さんやアニメ業界・ゲーム業界の方々の表現の自由を侵害するものですので逡巡するまでもなく却下なのですが、
百歩譲って認めたとしましょう。
しかしながら、素朴な疑問ではありますが、どうして「実写は除く」なのでしょうか。
どうしていかがわしい漫画やゲームは犯罪を誘発されるものだと滅却され、視覚を伴わない小説は有効とされるのでしょうか。
どうしてアニメーションで繰り広げられる性描写が規制され、れっきとした人体を介する性描写を映像化したアダルティーな作品は目を瞑られるのでしょうか。
同じ性描写である事には変わりがないのに。
そもそも、どこまでが良くてどこからがいけないのでしょうか。
この条文のままでは曖昧すぎて、ちょっとした事で発禁処分にされてしまいます。
行使者はその方が好都合でしょうが、規制を受ける側は堪ったもんじゃないですよ。
昔の漫画作品、それこそ手塚治虫さんや松本零士さんといった方々の作品にも大なり小なり性描写があったでしょう。
そのような方々が残してきた尊い作品すらも規制する、とこの条例は言っているのです。
加えて、石原都知事は確か小説家でしたよね。
きっと、彼の書いた小説にも性描写が存在するのでしょう。
如何せん実際に読んだ事はありませんので、大きな声を出して述べる事はできませんが…
そういう描写を含む「漫画やアニメーション」がどうして「青少年の健全な成長を阻害するおそれのあるもの」なのかが、聡くない私にはちっとも分からないのです。
結局のところ、犯罪を犯す人はそういう作品に触れようが触れまいが犯してしまうのだし、犯さない人は犯さないんですよ。
漫画やアニメーションの世界と、現実世界は違う。
これは普遍的事実であり、抗いようがない真実なのです。
改正賛成派が漫画やアニメをどう思ってるか知らないけど、こういうデリケートな問題こそ感情論で決めちゃいけないよ。
漫画やアニメーションが青少年に悪影響を与えるというのなら、それを合理的に説明できる資料なり反論なりの用意するべきです。
それが用意出来るのなら、改正に向けて一歩前進できるかもしれませんね。
このような条例が通るとは思えないけど、最終的には東京都民の判断に委ねられるわけか。
願わくば、仮想空間を愛する全ての人々に幸あらん事を…
2010/12/05 Sun. 00:39 edit
Category: 日記
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