FC2ブログ

惑星観測所の記録

アニメの感想、雑記など徒然と記すブログ マイペースにまったり更新中

図書館で借りてきました 





今回読んだ作品は、アガサ・クリスティーさん著書の『未完の肖像』。
私が読んだのは文庫タイプのもので、あとがき・解説を除いても543ページという、非常に重厚な作品。
内容としては、家族に大切に育まれながら幼少期を過ごした多感な主人公・シーリアが恋愛というものを知り、1人の若い下級将校・ダーモットを愛し結婚。
子宝にも恵まれ一時は順風満帆な生活を送っていたが、徐々に夫と考えが合わなくなり、幸せかと思われた結婚生活に暗雲が立ち込めていくようになる…
という彼女の半生を、ある肖像画家が彼女自身の口から聞かされながら物語が進んでいくというもの。
ちなみに、あとがきや解説によると、主人公シーリアの生き様や心理描写から作者であるアガサ・クリスティーさんの像が垣間見えるそうです。
私はこの方の作品をあまり嗜んでいないために作者の片鱗がちっとも見えなかったので、作品自体の感想に留めさせていただきます。




え~、まず真っ先に申し上げましょう。
この作品は断じてミステリー小説ではございません。
シーリアの幼少期の夢の中で、軍服に身を固めて服の袖から切り株のような手首を生やした謎の男が現れる…
という、いかにもな伏線が張られており、きちんと回収もされますが対して重要な部分ではないと思います。
なので、ミステリー系だと思い込んで読むと壮絶な肩透かしをくらうかもしれません。
かく言う私もその1人でして、初めミステリー小説だと思ってこの作品を読み始めたのですが、
読んでも読んでも事件らしい事件は起きなかったんですよ。
シーリアとその家族のやり取りだとか、家族とフランスへ海外旅行へ行ったりだとか、およそ事件とは到底結び付かない日常的な部分ばかり。
庭師、それから父親が死ぬシーンになって「お、これは…!」と内心ワクワクさせていたのですが、取るに足らない出来事の1つであるかのようにアッサリと終了。
シーリアの周りに多くの男性が現れるようになり、恋愛っぽい雰囲気になって来た時に私は漠然と感じましたよ。
「あぁ、これはミステリー小説ではないんだな」と。
この小説はこの世の誰もが通るであろう、情熱的な恋愛や結婚のその後を描いていった作品なのだと思います。


加えて、非常に長い。
個人的には、特にシーリアが祖母のグラニーと過ごすパートを読むのが本当に辛くて何度ギブアップしそうになったか分かりません。
グラニーの家から実家に戻ってきたパートからは面白くなってきたので、サクサクと読んでいけたのですが…
まぁ、1人の女性の半生を事細かに描写しているから当然なんですが。
約25年もの日々をたった数十ページで記そうとしても、出来るはずがないでしょう?




こう言っているとこの作品が何だか良くないもののように聞こえてきますが、良い部分もちゃんとあります。
それは、シーリアやその母親・ミリアムの心理が情緒豊かに描写されている点。
実家に戻ってきた時のシーリアは文面だけ読んでいても本当に楽しそうでしたし、夫を盲信的に愛する様は彼女が夫の事を心の底から愛していること。
いや、愛しすぎていることが痛切に感じられました。
また、母親が苦しい家計の事で悩んだり、娘が家を出ていきそうになる場面で突如として萌芽したドス黒い感情もよくよく伝わってきたり。
とにかく、人間の内面に関する描写がとても洗練されていて、登場人物の感じている事がよく分かるんですよね。
読んでる側としても、それだけ感情移入がしやすくなります。
その点においては、文面通り受け取れば良い場面ばかりなので読みやすいと言えるかもしれません。
母親が亡くなった後のシーリアなんて、凄く悲しそうだったからなぁ…
彼女は自分の気持ちをよく分かってくれた母親が大好きだったんだろう、きっと。
ちなみに、シーリアには兄が居るのですが、彼に関する描写は意図的になのかかなり少ないですw
シーリアにとって、兄はあまり記憶に残らない存在なんでしょうね。
この作品、彼女にとってどれだけ大きな存在だったかによって描写される量が目まぐるしく変化するので、その点に気をつけて読んでみると面白いかもしれません。


また、シーリアの幸せの絶頂から転落・そして絶望に至るまでが詳細に描かれているところも良い。
現実世界に興味を持たず、自分の内面で作り出された世界が全てだと確信しながら過ごしてきた彼女の幸せがどうして崩れ去ってしまったのか。
何がいけなかったのかと、考えさせられてしまいました。
恋愛や結婚って、やっぱり最終的にはお互いの相性が重要なんですね…
性格が違いすぎるから惹かれるものもあるけど、違いすぎるからこそ崩壊してしまうんですね(^-^;)




大したオチもなくて申し訳ないですが、この辺りで終わらせておこうと思います。
借りるだけでも良いので、気が向いて一読なさってもらえたら嬉しいですね。
読んで損する作品では絶対にないですので。


スポンサーサイト



2011/04/09 Sat. 16:36  edit

Category: .書籍物の感想 小説

tb: 0  |  cm: 0

top △

コメント

top △

コメントの投稿

Secret

top △

トラックバック

トラックバックURL
→http://plutor.blog83.fc2.com/tb.php/1276-ae3a709a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

top △