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惑星観測所の記録

アニメの感想、雑記など徒然と記すブログ マイペースにまったり更新中

『終わる世界のアルバム』について 





『さよならピアノソナタ』・『神様のメモ』でお馴染みの杉井光さんによるハードカバー小説。
237ページです。




ネタバレ全開なので、まだ読んでない方はお気を付け下さい






宣言通り4月中に読了しましたので、感想記事を書いておきます。
本文にも書いた通り、作者は杉井光さん。
私は『さよならピアノソナタ』から杉井さんの事を知ったのですが、
杉井さんの切なさを感じさせる文体が好きでして。
この作品でもその書き方は継承されていたので、嬉しかったですね~。
ある人が死んだり突然消えると全ての人々の記憶からその人に関する事が抹消される世界。
その中において、カメラに収める事で記憶を保持する事の出来る人間・マコと
いつの間にかクラスの中に溶け込んでいた女の子・水島奈月による切なく物悲しい恋愛小説(?)であります。
周りの人がすっかり忘れてしまった人の事が心に深く残ってしまわないよう、
努めて淡々としているマコの様子が上手く表現されていたんですよねぇ。
もう消えてしまった人なんだから、いつまでも心に残っていると辛い。
それに、誰がいつ消えるかなんてほとんど分からない。
だから、あらゆる人々と一定の距離を置きながら日々を過ごしているマコ…
マコの、そうした痛々しささえ感じる切ない心情が文面から仄かに滲み出ていて。
読者に直接的に訴えかけるような描写はあまりないけど、心にじんわりと残るような書き方が良いんですよね(´∀`)


両親からこの世から居なくなってから面倒を見てくれた
幼なじみの莉子の母親でもある女性・恭子さんが消滅してからのマコの心理描写はもっと良かった。
人との交わりを意図的に避け、消え去っても平気な顔をしていても近しい人物が居なくなればやっぱり悲しくなるんですね…
その後は莉子も消えてしまって、マコを更なる絶望へと叩き込むんだろうなぁと思ってました。
少なくとも、この時は。


恭子さんの消滅まで、というかラスト5,6ページぐらいまでは凄く良い作品だったんですよね。
でも、ラストがなぁ…
あの終わらせ方が作者にとってベストな方法でしょうから、とやかく言うつもりはないのですが
中途半端な救いは必要ないと思うんですよね。
海を前にして奈月はアッサリ消えて、彼女の望み通りマコは奈月の事をキレイサッパリ忘れてしまって…
でも、彼女の面影を匂わせる何かを見付けたり触れたりした時、
姿も名前すらも思い出せないけど大切な人が自分には確かに居た事を思い出す。
その程度の救いで良かったと思うんですよね、私は。
その点については、少しマイナスだったかなぁ(^-^;)
結局、奈月との関係は不明なままだし。
明らかに以前は恋人同士だったっぽいですが(ぁ
まぁ、全体的に非常に好みの雰囲気が出ていたので楽しめました!
値段分の価値はあったと思う。






「本当に大切だった人の事を憶えていたいか、忘れたいか」
人によって意見の分かれる、難しい問いだと思います。
普通に考えたら、大切な人の事はいつまでも憶えていたいし、相手も自分の事を憶えていて欲しい。
でも、憶えている事によって辛い事……特に、死別の際に深い悲しみに苛まれるのも事実なんですよね。
二度と立ち上がれないような悲しみを味わうぐらいなら、キレイに忘れ去ってしまえる方が良いのかもしれない。
幸い、この作品における世界では「存在していた」という記憶すら消失してしまうわけですし。
…でも、大切な人との思い出って何も楽しい事ばっかりじゃないんですよね。
激しい衝突があり、お互いに相手と関わり合う事すら嫌になり、
でもその人が居ないと心の中にどこかポッカリと穴が空いているかのような感覚を得る…
そういった心の揺らめきを踏まえてこそ、その人が自分とって「大切な人」だと認識できるのではないでしょうか。
日頃から普通に接してるだけでは、その人が自分にとっての何なのか気付きにくいですからね。
周りの人について改めて考える良いきっかけになると思いますよ、この作品!


…と、最後の最後で少し宣伝してみたりw
ジャケ買いでもいいから、手に取ってくれると嬉しいですねっ(≧▽≦)




クリックしていただけたら、管理人は大喜びすると思います(何


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2011/04/26 Tue. 20:57  edit

Category: .書籍物の感想 小説

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